気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「それと、大事なことがひとつ。仮にも夫婦になるんだから、水無月社長と呼ぶのはやめてくれ」

「そうですね。では、なんとお呼びすれば……?」

「志信でいい。あだ名をつけたいなら、それでもかまわない」

「い、いえ、志信さんと呼ばせてください」

 名前で呼ぶのも気が引けるけれど、あだ名よりはまだいい。

「敬語も使わないようにしてもらえるか?」

「……善処します。でももう少しだけ、敬語のままでもいいですか? どうしてもすぐには慣れそうになくて」

「わかった。敬語に関してはいつか慣れた時でかまわない。……俺も君を名前で呼ばなければならないな。優陽さん、と呼んでも?」

 まともに名前を呼ばれ、どくんと大きく心臓が跳ねる。

「も、もちろんです。お好きに呼んでください」

「ああ。じゃあ――優陽さん」

「はい。……志信、さん」

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