気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 名前を呼び合うだけのことが、どうしてこんなに恥ずかしいのだろう。

 呼び捨てにされないのも、なんだか大切に扱われているような気がしてくすぐったい。

「話はまとまったな。今後は夫婦としてよろしく頼むよ」

「こちらこそよろしくお願いします」

 語尾がどんどん小さくなっていくのを感じながら、なぜか熱くなる頬を隠すために、下を向いた。
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