気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 玄関を入ってすぐ、廊下の先に広そうなリビングが見えた。左右にはいくつもの扉があり、部屋数も同じだけあるのがうかがえる。

 私の部屋は玄関から入って右の廊下に進んだ先にあった。

「正面は俺の部屋だ」

「わかりまし……」

 部屋のドアを開けながら言われたせいで、言葉が途切れてしまう。

 ひと言で言うと、広い。

 ベッドや本棚、テーブルやドレッサー、タンスに小さめのソファと家具が揃っているのに、少しも狭さを感じない。

 大きな窓のおかげか、それとも色調を白に揃えているからか、室内は明るく見えた。

「広いですね」

「違う部屋のほうがよかったか?」

「そういうわけじゃないんですが……」

 おっかなびっくり部屋に入って、室内をぐるりと歩いてみる。

 さすがに二十畳はないだろうが、間違いなく十五はある。

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