気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 そこは私の部屋のすぐ隣だった。

 ここもまた十五畳はありそうな広さをしていて、巨大なベッドの脇にサイドテーブルがある。家具はそれだけだ。

「ここで一緒に寝るんですか……?」

 夫婦にはなったものの、私たちの関係は〝そういうもの〟ではない。

 あくまで契約結婚だと思っていたから、目の前の光景にためらってしまった。

「少なくとも俺にその予定はない。形として用意すべきだと思っただけだ」

 それを聞いてほっとする。

 いくらなんでも一緒に寝るのはやりすぎだと思ったからだ。

「ただ、部屋にあるベッドよりは大きいからな。こちらで寝たいなら好きにしてくれ。俺は使わない」

「その場合――し、志信さんはどこで寝るんですか?」

「自室のベッドで寝る。仕事の状況によっては帰ってこないこともあるしな」

 私が名前を呼んでも、彼は特に気にしていないようだった。

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