気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 心配をかけてしまうくらいなら嘘の説明をしようかとも思ったけれど、これまで大切に育ててくれたふたりにそんな真似はしたくない。

 だから素直に全部話すつもりだった。

「私のせいで困っている人がいて、助けたかったの」

 どう説明するか、今日まで考えていたはずなのに頭から抜けてしまった。

「そのための方法が結婚しかなくて……。悪い人じゃないんだよ、むしろすごくいい人。だから……」

『……優陽ちゃんが決めたことならなにも言えないね』

「お父さん……」

『お母さんもそうだから、心配しなくていい。正直に教えてくれてありがとう』

 父の声には隠しきれない戸惑いが残っている。

 本当はもっと言いたいことがあるに違いない。

『ただし、困ったことがあったらすぐ言いなさい。お相手がどんな人かは知らないけど、すぐ助けに行ってあげるからね』

「……うん」

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