気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「いや、考えたこともなかった。無駄を省けるならそれに越したことはない。言われなければ気づかないなんて恥ずかしいな」

「志信さんが恥ずかしく思う必要は……」

 フォローしようとするも、志信さんは首を左右に振って答える。

「君といると新しい視点を知れるな。ホテルでもそうだった」

「私は別に、そんな」

「とりあえずお茶をもらおうか。用意してくれるんだろう?」

「あっ、はい」

 任せてもらえたことに小さな喜びを感じながら、キッチンでお茶の用意をする。

 その間、志信さんはソファに座ってテレビを見ていた。

 お湯を沸かしている間に覗き見ると、画面にはバラエティ番組が映っている。

「意外でした」

 香りのいい緑茶を淹れ終えて、テーブルまで運ぶ。

「意外? なにが?」

「こういう番組はあんまり見ないかと思っていたんです。ニュースとか、そういうものを見るのかなって」

「ああ」
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