気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

　つやつやの白米はふっくら炊き上がり、日本人ならば誰でも喉を鳴らすような、炊き立てのご飯特有の香りが漂っている。

　今日のおかずはカレイの煮つけときんぴらごぼう。それから三つ葉のおひたしと、豚汁を用意した。さらに志信さんにはポテトサラダも作ってある。

「困ったな、今日もおいしい。また食べすぎることになりそうだ」

「そう言うと思っておかわりを用意してあります」

「なるほど。君が仕事をしていた頃は、きっと優秀だったんだろうな」

　彼は細身に見えて、かなり食事量が多い。それだけ社長業でカロリーを使っているのかもしれないけれど、それにしても本当によく食べる。

　最初は私が作ったものなんて口に合わないんじゃないかと心配だった。でも彼はなんでもおいしいと褒めてくれて、『もっと食べたい』と言ってくれたのだ。

　てっきりお世辞かと思ったのに、まさか本気で食べたがっていたなんて。