神殺しのクロノスタシス6
…これが、もしもRPGゲームだったら。

ここでセーブ推奨ですね。

絶対何かが出てくる。中ボス以上のモンスターが。

しかし、それはRPGゲームではないし、セーブもロードも出来ないので。

ノーセーブで挑むしかないんですよね。

ただし、残機だけは無限ですから。僕だけ。

よし。一気にヌルゲーと化しましたね。

…って、冗談はそこまでにして。

「無人島…だと思ってたんですが、そうじゃなかったみたいですね」

「うーん。これは明らかに、人が作った建物だねー」

少なくとも昔は、ここは有人島だった訳だ。

建物はすっかり荒れ放題で、崩壊した天井から空が見えている有り様だが。

柵の内側には、ガラスの破片やコンクリートの瓦礫が散乱していた。

「何の建物だったんでしょうね…?」

「学校っぽいけど…。こんなところに学校があるとは思えないし…。病院とか?」

「いや、こんなところに病院があるのもおかしいのでは…?」

「うーん。確かに」

こんな隔離された場所に…島の中央に隠されるように…。

そもそも、冥界に学校とか病院とか、あるんですかね?

魔物が学校に行って勉強したり、病院で治療を受けている姿を想像し。

思わず吹き出しそうになったのは、僕だけではないと思う。

…あります?そんなこと…。

「入ってみる?建物の中」

「良いですけど、僕を先頭にしてください」

「え。何で?」

「建物が崩れかけてるんで。もし床が抜けたり天井が落ちてきたら怪我するでしょう?」

僕は不死身だから、建物の倒壊くらいじゃ何ともないけど。

すぐりさんに怪我されたら困るんで。

「あー、成程。じゃー遠慮なく、ナジュせんせーを囮に使うよ」

「はいはい、宜しくお願いします」

物分かり良くて良いですよね、すぐりさんは。

これが天音さんだったら、ここで一悶着ですよ。

ナジュ君だって怪我したら困るんだから、とか何とか言われて。

やっぱり、天音さんはお人好し過ぎるんですよ。

折角不死身の肉体を持ってるんだから、踏み台に使うくらいで良いんです。

そりゃあ僕だって、死にはしないけど、怪我すればそれなりに痛いですよ?

痛いのは得意ですが、好きな訳じゃない。

でも、少なくとも、自分以外の仲間が怪我するより遥かにマシなんで。

遠慮なく踏み台にしてください。

「じゃあ、入ってみますか…。玄関って何処ですかね?」

「そこ、壁が崩れてるところから入れそうだよ」

おっ、本当だ。

じゃ、行ってみましょうか。
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