神殺しのクロノスタシス6
背中に穴が開いたまま歩く、っていうのも格好がつかないから。
「縫ってあげようか、服」
「え、令月さんそんなこと出来るんですか?」
「針と糸を使うのは、暗殺スキルの一つだからね」
「うわぁ、器用。俺より遥かに年下なのに、超有能じゃないですか。もう俺要らないのでは?」
そうかな。
「でも、ソーイングセットは持ってるんですか?」
「うん、暗殺非常用持ち出し袋に入ってる」
「準備良いですねー」
備えあれば憂いなし、って奴だね。
風呂敷包みから裁縫道具を取り出して、ルイーシュの背中の穴を縫ってあげた。
何だか布が引き攣れてるけど、穴は塞がった。
「はい、これで良いよ」
「どうも、ありがとうございます。令月さんが居てくれて助かりましたよ」
「どういたしまして」
「…やれやれ、仕方ない。このまま寝ていたら、また服に穴が開くから…。起きますか」
ルイーシュは、ひょいっと立ち上がった。
起きれるんだね。一応。
「はー。立ち上がるのってめちゃくちゃ労力使いますよね。走ったり歩いたりするより、まず立ち上がることに一番体力を消費します」
「おんぶしてあげようか?」
「え、良いんですか?じゃあ遠慮なく…。…と、言いたいところですが」
「やめるの?」
「ここ、天井低いじゃないですか。ここでおんぶされたら、俺の頭が溶けます」
あぁ、確かに。
天井がもう少し高かったら、おんぶしてあげられたのにな。
残念。
「…ところで、令月さん」
「何?」
「あなた、一人なんですか?いつも一緒にいる相方は?」
…『八千歳』のこと?
僕も探してるところなんだよ。『八千歳』。
「分からない。ここに着いた時にははぐれてた」
「へぇ…。それは災難でしたね」
「君こそ、一人なの?いつも一緒にいる相方は?」
「さぁ、分かりません。ここに着いた時にははぐれてました」
「へぇ…。それは災難だったね」
僕達、もしかして似た者同士って奴なのかな。
気が合うね。相方を見失った者同士。
「人の気配は全然しないね。…多分、この近くには居ないんじゃないかな」
「我々の相棒以外の仲間も?学院長とか…」
「うん。近くにはいないと思う」
「うわぁ…。ってことは、今ここにいる二人で何とかするしかないってことですか?」
「そういうことだね」
ルイーシュの、このうんざりした表情。
僕が何とかしてあげられたら良いんだけどね。
「…大丈夫?ここで休んでる?僕、その辺を探してくるよ」
「いえいえ…。探索に行くなら、俺も行きますよ」
「…良いの?」
「一応、俺の方が大人なんでね。さすがにこの状況で、子供に全部任せて胡座をかいてたら、後でキュレムさんにどやされるどころじゃ済みませんし、それに…」
「…それに?」
「俺が付いてるのに、あなたに何かあったら、学院長に一生顔向け出来ないので。そんな面倒臭いことになるくらいだったら、動いた方がマシです」
動かないことによって生じる面倒臭さと、動くことによって生じる面倒臭さを天秤にかけて。
後者の方がまだマシだと判断して、動くことに決めたらしい。
僕としても、一人より二人の方が効率が上がりそうだから、助かったかな。
「縫ってあげようか、服」
「え、令月さんそんなこと出来るんですか?」
「針と糸を使うのは、暗殺スキルの一つだからね」
「うわぁ、器用。俺より遥かに年下なのに、超有能じゃないですか。もう俺要らないのでは?」
そうかな。
「でも、ソーイングセットは持ってるんですか?」
「うん、暗殺非常用持ち出し袋に入ってる」
「準備良いですねー」
備えあれば憂いなし、って奴だね。
風呂敷包みから裁縫道具を取り出して、ルイーシュの背中の穴を縫ってあげた。
何だか布が引き攣れてるけど、穴は塞がった。
「はい、これで良いよ」
「どうも、ありがとうございます。令月さんが居てくれて助かりましたよ」
「どういたしまして」
「…やれやれ、仕方ない。このまま寝ていたら、また服に穴が開くから…。起きますか」
ルイーシュは、ひょいっと立ち上がった。
起きれるんだね。一応。
「はー。立ち上がるのってめちゃくちゃ労力使いますよね。走ったり歩いたりするより、まず立ち上がることに一番体力を消費します」
「おんぶしてあげようか?」
「え、良いんですか?じゃあ遠慮なく…。…と、言いたいところですが」
「やめるの?」
「ここ、天井低いじゃないですか。ここでおんぶされたら、俺の頭が溶けます」
あぁ、確かに。
天井がもう少し高かったら、おんぶしてあげられたのにな。
残念。
「…ところで、令月さん」
「何?」
「あなた、一人なんですか?いつも一緒にいる相方は?」
…『八千歳』のこと?
僕も探してるところなんだよ。『八千歳』。
「分からない。ここに着いた時にははぐれてた」
「へぇ…。それは災難でしたね」
「君こそ、一人なの?いつも一緒にいる相方は?」
「さぁ、分かりません。ここに着いた時にははぐれてました」
「へぇ…。それは災難だったね」
僕達、もしかして似た者同士って奴なのかな。
気が合うね。相方を見失った者同士。
「人の気配は全然しないね。…多分、この近くには居ないんじゃないかな」
「我々の相棒以外の仲間も?学院長とか…」
「うん。近くにはいないと思う」
「うわぁ…。ってことは、今ここにいる二人で何とかするしかないってことですか?」
「そういうことだね」
ルイーシュの、このうんざりした表情。
僕が何とかしてあげられたら良いんだけどね。
「…大丈夫?ここで休んでる?僕、その辺を探してくるよ」
「いえいえ…。探索に行くなら、俺も行きますよ」
「…良いの?」
「一応、俺の方が大人なんでね。さすがにこの状況で、子供に全部任せて胡座をかいてたら、後でキュレムさんにどやされるどころじゃ済みませんし、それに…」
「…それに?」
「俺が付いてるのに、あなたに何かあったら、学院長に一生顔向け出来ないので。そんな面倒臭いことになるくらいだったら、動いた方がマシです」
動かないことによって生じる面倒臭さと、動くことによって生じる面倒臭さを天秤にかけて。
後者の方がまだマシだと判断して、動くことに決めたらしい。
僕としても、一人より二人の方が効率が上がりそうだから、助かったかな。