神殺しのクロノスタシス6
こうして、僕とキュレムさんは二人で、冥界海底探索を始めた。
…いや、海の底じゃなくて…湖の底なんだっけ?
こう聞くと何だかファンタジーみたいで、楽しそうだと思われるかもしれないけど。
実際のところは…。
「冥界ってさぁ…。あらゆる魑魅魍魎が跳梁ぼっこしてる場所なんだろ?」
「そうだね…。…跳梁跋扈(ばっこ)だけどね…」
「通じるんだから良いだろ。…海に出てくるバケモノって何だっけ…。…ポセイドン?」
「ポセイドンはバケモノじゃなくて…海の神様だね」
バチが当たりそうだから、バケモノ呼ばわりはやめよう。
「なんか、でっかいタコのバケモノいなかったっけ?」
「えぇっと…。それはイカじゃないかな?クラーケンのこと?」
「おぉ、それだそれ…。何でも一緒だよ、イカでもタコでも神様でも」
さ、さすがに魚介類と神様を同列に語るのはどうかと思うな…。
「クラーケンやポセイドンに出てこられても困るけど…。…魔物一匹、魚一匹姿を見せないんじゃ、逆に気持ち悪いな」
…そうだね。
この湖の底…。生き物の気配が全くないんだ。
魔物もいないし、魚も、貝類も、海藻の一本も生えていない。
生命の息吹が、まるで感じられない。
だからこそ、余計不気味なのだ。
まるで、この海(湖?)の中にいる生き物は、僕とキュレムさんだけになったみたいで…。
海底を漁るように歩いているけど、何も見つからないし…。
「普通ダイビングって言ったらさ、綺麗な珊瑚礁とイソギンチャクと、ウミガメに会ったりさぁ」
「それは…。…普通のダイビングじゃないからね、ここ…」
美しい離島の海とか、外国のダイビングスポットじゃないから。
冥界の、何処とも分からない湖の底だから。
そんな美しい景色は望めない。
「せめて、そう…竜宮城とか見つからねぇかなー」
「結構ロマンチックだね、キュレムさん…」
「夢と妄想でくらい、美女にちやほやされたいと思うことの何が間違ってるんだ?」
いや、間違ってるとは言ってないけど…。
…何だか切なくなってくるから、この話題はやめよう。
「あっ、待てよ、竜宮城は駄目だ。玉手箱を開けたらジジイになるんだった」
そうだね。竜宮城はやめておこう。
「せめて、小魚の一匹でも見つかればね…」
僕達以外の生き物に会ってみたいよね。そうじゃなきゃ、ここがまるで死の海、
「…ん?」
「…あっ…」
僕とキュレムさんは、同時に気づいて声を上げた。
そして、同時に顔を見合わせた。
「あそこ、なんかある…!」
「あ、あれって…!」
僕達は、急いで駆け寄った(と言っても水の中だから、スローモーションみたいな動きになってる)。
そこにあったのは、湖の底に沈んだ…さながら、海底都市。
…の、残骸。
「…これって、ワンチャン竜宮城の可能性、ない?」
キュレムさんの声は、水の中でもはっきり分かるくらい動揺していた。
分かるよ。僕も同じ気持ちだから。
「竜宮城…かもしれないね」
冥界にやって来た僕達が、不思議な湖の底で見つけたのは。
竜の祠でも、海のバケモノでもなく。
打ち捨てられた、海底都市の跡地だった。
…いや、海の底じゃなくて…湖の底なんだっけ?
こう聞くと何だかファンタジーみたいで、楽しそうだと思われるかもしれないけど。
実際のところは…。
「冥界ってさぁ…。あらゆる魑魅魍魎が跳梁ぼっこしてる場所なんだろ?」
「そうだね…。…跳梁跋扈(ばっこ)だけどね…」
「通じるんだから良いだろ。…海に出てくるバケモノって何だっけ…。…ポセイドン?」
「ポセイドンはバケモノじゃなくて…海の神様だね」
バチが当たりそうだから、バケモノ呼ばわりはやめよう。
「なんか、でっかいタコのバケモノいなかったっけ?」
「えぇっと…。それはイカじゃないかな?クラーケンのこと?」
「おぉ、それだそれ…。何でも一緒だよ、イカでもタコでも神様でも」
さ、さすがに魚介類と神様を同列に語るのはどうかと思うな…。
「クラーケンやポセイドンに出てこられても困るけど…。…魔物一匹、魚一匹姿を見せないんじゃ、逆に気持ち悪いな」
…そうだね。
この湖の底…。生き物の気配が全くないんだ。
魔物もいないし、魚も、貝類も、海藻の一本も生えていない。
生命の息吹が、まるで感じられない。
だからこそ、余計不気味なのだ。
まるで、この海(湖?)の中にいる生き物は、僕とキュレムさんだけになったみたいで…。
海底を漁るように歩いているけど、何も見つからないし…。
「普通ダイビングって言ったらさ、綺麗な珊瑚礁とイソギンチャクと、ウミガメに会ったりさぁ」
「それは…。…普通のダイビングじゃないからね、ここ…」
美しい離島の海とか、外国のダイビングスポットじゃないから。
冥界の、何処とも分からない湖の底だから。
そんな美しい景色は望めない。
「せめて、そう…竜宮城とか見つからねぇかなー」
「結構ロマンチックだね、キュレムさん…」
「夢と妄想でくらい、美女にちやほやされたいと思うことの何が間違ってるんだ?」
いや、間違ってるとは言ってないけど…。
…何だか切なくなってくるから、この話題はやめよう。
「あっ、待てよ、竜宮城は駄目だ。玉手箱を開けたらジジイになるんだった」
そうだね。竜宮城はやめておこう。
「せめて、小魚の一匹でも見つかればね…」
僕達以外の生き物に会ってみたいよね。そうじゃなきゃ、ここがまるで死の海、
「…ん?」
「…あっ…」
僕とキュレムさんは、同時に気づいて声を上げた。
そして、同時に顔を見合わせた。
「あそこ、なんかある…!」
「あ、あれって…!」
僕達は、急いで駆け寄った(と言っても水の中だから、スローモーションみたいな動きになってる)。
そこにあったのは、湖の底に沈んだ…さながら、海底都市。
…の、残骸。
「…これって、ワンチャン竜宮城の可能性、ない?」
キュレムさんの声は、水の中でもはっきり分かるくらい動揺していた。
分かるよ。僕も同じ気持ちだから。
「竜宮城…かもしれないね」
冥界にやって来た僕達が、不思議な湖の底で見つけたのは。
竜の祠でも、海のバケモノでもなく。
打ち捨てられた、海底都市の跡地だった。