神殺しのクロノスタシス6
「スクルト…。教えて欲しい。僕は、どうすれば良い?彼らの未来を救う為に…僕には何が出来る?」

何でもするよ。

彼らの未来を守ることは、僕の未来を守ることでもあるのだから。

もう逃げない。どんな運命にも…立ち向かってみせる。

強い意志を持って。

「導いてあげて。彼らを、正しい方向へ。…竜の祠へ」

「…彼らを…竜の、祠に…」

「そう。それはあなたにしか出来ないことだから」

…そうだね。その通りだ。

僕に、躊躇う理由は一つもない。

…これが現世であったら、僕には何も出来なかっただろう。

でも、彼らが今いるのは、冥界だから。

冥界において、死者の魂はあの世に旅立ったりなどしない。永遠に、あの世でもこの世でもない場所を彷徨うだけ。

例え魂だけの存在になっても、生と死の境界が曖昧なこの場所なら、まだ、声を届けることが出来るはずだ。

そしてそれは、僕にしか出来ないことだから。

「彼らを助けられるのはあなただけ。…さぁ、行って。私達の未来の為に」

「…分かった」

振り返ることはしなかった。

僕は、光の溢れる方に走り出した。






…そんな僕の背中を、スクルトはじっと見つめ。

「…大丈夫、あなたなら…。この先もずっと、美しい未来が待ってるわ」

微笑みを浮かべて、そう呟いた。


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