神殺しのクロノスタシス6
…猫ちゃん、いや、『マシュリ君』は。
ちらりとこちらを見つめたかと思うと、すぐにタッと走り出した。
そう。そういうこと。
ついてこいって言ってるんだね。分かった。
君の言うことなら、私は信じられる。
「ジュリス君、あっち!あの猫ちゃんについていって…!」
「本気かよ…!?」
「大丈夫。あの子は味方だから…!」
私達を導こうとしてくれてるんだ。正しい方向に。
「…ちっ、分かった。従ってやるよ…!」
ジュリス君は杖を収めて、私と共に『マシュリ君』の後を追いかけた。
ありがとう。信じてくれて。
きっと大丈夫。『マシュリ君』が案内してくれるから…。
だが、後ろからのっぺらぼうお化けが追いかけてきているのも、忘れてはいけない。
魔物に気配はないけれど、何か恐ろしいものが迫ってきているような感覚がして、恐る恐る後ろを振り向いてみると。
「ひっ…!ひえっ…!」
すぐさま、振り向いたことを後悔した。
身体を左右に大きくぐねぐねさせながら、人間とは思えない速さでこちらに迫っていた。
ホラー映画だ。ホラー映画だよこれは。
周囲がお墓だから、余計ホラー映画の舞台。多分、丁度クライマックスの一番盛り上がるシーンのワンカット。
「ほ、ホラー映画だ。リアルホラー映画〜っ!」
「後ろを振り向くな、馬鹿!前だけ向いて走れ!」
「ふ、ふへぁ〜っ!!」
よく、恐怖で足がもつれなかったものだと思う。
やがて『マシュリ君』は、赤黒い時空の裂け目のようなものの前で止まり、こちらを振り向いた。
その仕草で分かった。
その裂け目に飛び込めって。そう言ってるんだね。
「げっ…!ここに入れって言ってるのかよ…!?」
ジュリス君も、『マシュリ君』の意図に気づいたようだ。
一体何処に繋がっているのか。私達には知る由もないけど。
知らない場所に飛び込むのは、なかなか勇気が要るね。
だけど、『マシュリ君』がそうしろと言うなら、私は信じる。
彼が、守る為以外に私達を傷つけたことなんて一度もないのだから。
「行こう、ジュリス君。きっと大丈夫だ」
「っ…!背に腹は代えられないか…!」
このまま走り続けていても遠からず、私が転ぶか、のっぺらぼうさんに追いつかれるかのどちらかだ。
だったら、私は『マシュリ君』を信じる。
きっとその先に、私達の求めているものがあるはずだと。
えいやっ、とばかりに時空の裂け目に飛び込み。
まばゆいほどの光に包まれたかと思うと、その先に見えたのは。
「…ここは…」
植物に覆われた、古い洞窟の入り口だった。
ちらりとこちらを見つめたかと思うと、すぐにタッと走り出した。
そう。そういうこと。
ついてこいって言ってるんだね。分かった。
君の言うことなら、私は信じられる。
「ジュリス君、あっち!あの猫ちゃんについていって…!」
「本気かよ…!?」
「大丈夫。あの子は味方だから…!」
私達を導こうとしてくれてるんだ。正しい方向に。
「…ちっ、分かった。従ってやるよ…!」
ジュリス君は杖を収めて、私と共に『マシュリ君』の後を追いかけた。
ありがとう。信じてくれて。
きっと大丈夫。『マシュリ君』が案内してくれるから…。
だが、後ろからのっぺらぼうお化けが追いかけてきているのも、忘れてはいけない。
魔物に気配はないけれど、何か恐ろしいものが迫ってきているような感覚がして、恐る恐る後ろを振り向いてみると。
「ひっ…!ひえっ…!」
すぐさま、振り向いたことを後悔した。
身体を左右に大きくぐねぐねさせながら、人間とは思えない速さでこちらに迫っていた。
ホラー映画だ。ホラー映画だよこれは。
周囲がお墓だから、余計ホラー映画の舞台。多分、丁度クライマックスの一番盛り上がるシーンのワンカット。
「ほ、ホラー映画だ。リアルホラー映画〜っ!」
「後ろを振り向くな、馬鹿!前だけ向いて走れ!」
「ふ、ふへぁ〜っ!!」
よく、恐怖で足がもつれなかったものだと思う。
やがて『マシュリ君』は、赤黒い時空の裂け目のようなものの前で止まり、こちらを振り向いた。
その仕草で分かった。
その裂け目に飛び込めって。そう言ってるんだね。
「げっ…!ここに入れって言ってるのかよ…!?」
ジュリス君も、『マシュリ君』の意図に気づいたようだ。
一体何処に繋がっているのか。私達には知る由もないけど。
知らない場所に飛び込むのは、なかなか勇気が要るね。
だけど、『マシュリ君』がそうしろと言うなら、私は信じる。
彼が、守る為以外に私達を傷つけたことなんて一度もないのだから。
「行こう、ジュリス君。きっと大丈夫だ」
「っ…!背に腹は代えられないか…!」
このまま走り続けていても遠からず、私が転ぶか、のっぺらぼうさんに追いつかれるかのどちらかだ。
だったら、私は『マシュリ君』を信じる。
きっとその先に、私達の求めているものがあるはずだと。
えいやっ、とばかりに時空の裂け目に飛び込み。
まばゆいほどの光に包まれたかと思うと、その先に見えたのは。
「…ここは…」
植物に覆われた、古い洞窟の入り口だった。