神殺しのクロノスタシス6
さぁ、僕とルイーシュが出した結論は。
「上からでも下からでも良いですが、他にもう一つ方法があるってこと、忘れてませんか?」
と、ルイーシュが聞いてきた。
…他にも?
「どうやって出るの?」
「腹の中から風穴を開けて、無理矢理出る」
成程。それは名案だね。
「出来るかな。僕とルイーシュに」
「さぁ…どうでしょうね。この、いかにも肉厚そうな腹の脂肪を突き破るのは、難しいかもしれませんが…」
「…が?」
「…少なくとも、下から出るよりマシじゃないですか?」
成程。確かに。
「分かった。やってみよう」
「俺が補助魔法をかけるので、令月さんの最大火力で、思いっきり腹の肉を切り裂いてください」
ルイーシュが得意なのって、空間魔法だっけ?
今はあまり役に立ちそうにないね。
僕は風呂敷包みの中から、愛用の小太刀を取り出した。
果たして、この刃が通用するかな。
「時魔法で、一時的に加速をかけます。…行きますよ」
「うん」
「ot eccelerata」
ルイーシュは、僕に加速の時魔法をかけた。
同時に、僕は唯一使える魔法…渾身の力魔法を両手の小太刀に込め。
肉の壁に向かって、弾丸の如き速度で飛んだ。
振りかぶって、右手の小太刀で肉を断ち切る一閃。
続けざまに、利き手の左手で二閃。
確かな手応えと共に、肉の壁の向こうに、外の光が見えた。
その隙を、僕達は見逃さなかった。
「ルイーシュ!」
「行きます。…rtanspotr」
すかさず、ルイーシュが得意の空間魔法を発動した。
その手際は、さすがと言わざるを得ない。
僕とルイーシュは、胃の中から無理矢理抉じ開けた穴を通って、身体の外に這い出ることに成功した。
…しかし、すぐにまた問題発生。
外に出てようやく、僕とルイーシュが一体「何」の腹の中にいたのか分かった。
それは、巨大な体躯をした化け物だった。
他になんて表現したら良いのか分からない。
口が耳元まで裂け、身体に皮膚はなく、赤黒い肉が剥き出しになっている。
目は三つあるわ、それなのに耳は一つしかなく、おまけに鋭いツノが生えていた。
そして何より特徴的なのは、背中の羽根。
退化した骨組みだけのような羽根が、背中から突き出ていた。
凄い姿だ。…いかにも、冥界の魔物って感じがするね。
なんていう種族かは分からない。マシュリと同じ、神竜族やケルベロスじゃないことは確かだ。
その化け物が、苦悶と怒りの混じった咆哮をあげた。
その耳障りな叫び声に、思わず耳を塞いでしまったが。
考えてみれば、お腹の中に風穴を開けられたのだから、叫ぶのも当然である。
…なんか、ごめんね。
でも、僕も生きるのに必死だから。
「上からでも下からでも良いですが、他にもう一つ方法があるってこと、忘れてませんか?」
と、ルイーシュが聞いてきた。
…他にも?
「どうやって出るの?」
「腹の中から風穴を開けて、無理矢理出る」
成程。それは名案だね。
「出来るかな。僕とルイーシュに」
「さぁ…どうでしょうね。この、いかにも肉厚そうな腹の脂肪を突き破るのは、難しいかもしれませんが…」
「…が?」
「…少なくとも、下から出るよりマシじゃないですか?」
成程。確かに。
「分かった。やってみよう」
「俺が補助魔法をかけるので、令月さんの最大火力で、思いっきり腹の肉を切り裂いてください」
ルイーシュが得意なのって、空間魔法だっけ?
今はあまり役に立ちそうにないね。
僕は風呂敷包みの中から、愛用の小太刀を取り出した。
果たして、この刃が通用するかな。
「時魔法で、一時的に加速をかけます。…行きますよ」
「うん」
「ot eccelerata」
ルイーシュは、僕に加速の時魔法をかけた。
同時に、僕は唯一使える魔法…渾身の力魔法を両手の小太刀に込め。
肉の壁に向かって、弾丸の如き速度で飛んだ。
振りかぶって、右手の小太刀で肉を断ち切る一閃。
続けざまに、利き手の左手で二閃。
確かな手応えと共に、肉の壁の向こうに、外の光が見えた。
その隙を、僕達は見逃さなかった。
「ルイーシュ!」
「行きます。…rtanspotr」
すかさず、ルイーシュが得意の空間魔法を発動した。
その手際は、さすがと言わざるを得ない。
僕とルイーシュは、胃の中から無理矢理抉じ開けた穴を通って、身体の外に這い出ることに成功した。
…しかし、すぐにまた問題発生。
外に出てようやく、僕とルイーシュが一体「何」の腹の中にいたのか分かった。
それは、巨大な体躯をした化け物だった。
他になんて表現したら良いのか分からない。
口が耳元まで裂け、身体に皮膚はなく、赤黒い肉が剥き出しになっている。
目は三つあるわ、それなのに耳は一つしかなく、おまけに鋭いツノが生えていた。
そして何より特徴的なのは、背中の羽根。
退化した骨組みだけのような羽根が、背中から突き出ていた。
凄い姿だ。…いかにも、冥界の魔物って感じがするね。
なんていう種族かは分からない。マシュリと同じ、神竜族やケルベロスじゃないことは確かだ。
その化け物が、苦悶と怒りの混じった咆哮をあげた。
その耳障りな叫び声に、思わず耳を塞いでしまったが。
考えてみれば、お腹の中に風穴を開けられたのだから、叫ぶのも当然である。
…なんか、ごめんね。
でも、僕も生きるのに必死だから。