神殺しのクロノスタシス6
冥界の時間では、どれほどの時間が経ったのか分からないが。
現世では、学院長先生方が冥界に旅立ってから、既に五日が経過していた。
五日!
一体、どれほど途方もなく長い時間だったことでしょう。
その五日の間、吐月さんはずっと、冥界と現世を繫ぐ『門』を開き続けていた。
不眠不休で血を捧げ、魔力を注ぎ続けているのです。
吐月さんは既に膝を突き、肩で息をしながら、その顔色は真っ青になっている。
声をかけても、返事をする余裕もないほどに。
…もう、これ以上は無理です。
吐月さんは『門』を維持するこれ以上『門』を開き続けたら、吐月さんが死んでしまう。
そして、既に限界を迎えているのは吐月さんだけではない。
「…吐月さん、私の、魔力を…使って…」
少しでも吐月さんの手助けをしようと、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡しようとした。
けれど、ふわふわと覚束ない足元が絡まって、その場に倒れそうになった。
そんな私を、アトラスさんが支えてくれた。
「シュニィ…!しっかりしろ」
「だ…大丈夫、です…」
私が倒れている場合じゃないのに。
吐血さんはもっと辛くて大変なのに、こんなことで…。
「大丈夫じゃない。お前だって、もう魔力を使い果たしてるだろう」
「…そ、れは…」
アトラスさんに指摘されて、私は思わず口ごもった。
少しでも吐月さんの手伝いをしたくて、この五日間、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡していた。
既に、ほぼ限界まで絞り尽くしている状態だ。
そのせいで、足元さえ覚束ない。目眩が酷くて、考えがまとまらない。
限界が近いという、何よりの証拠だった。
だけど、それは私に限った話ではない。
「私の…魔力を使ってください。私は、まだ…平気、ですから…」
倒れかけた私の代わりに、クュルナさんが名乗り出た。
そのクュルナさんだって、酷く顔色が悪く、疲労が色濃く滲み出ていた。
彼女もまた、私と同じように、吐月さんに魔力の大半を譲渡し続けている。
クュルナさんも限界なのだ。私に負けないほどに…。
そして…。
「クュルナさん、大丈夫です。僕が、代わりに…」
同じく満身創痍のエリュティアさんが、それでもクュルナさんの代わりを申し出た。
探索魔法で手助けが出来なかった代わりにと、エリュティアさんは積極的に、吐月さんの手伝いを申し出てくれた。
お陰で、彼の魔力もほぼ全て使い尽くされている。
それでも、これ以上クュルナさんに負担をかけまいと、自ら名乗り出てくれたのだ。
更に。
「俺の魔力も使ってくれ…。…まだ行ける」
「…」
そう名乗り出た無闇さんの傍には、月読さんが心配そうに見つめていた。
普段、月読さんが私達の前に姿を現すことはほとんどない。
その月読さんが、私達の前に姿を現してまで、心配そうに無闇さんを見守っている。
つまり、それだけ無闇さんが無茶をしているということだ。
吐月さんだけじゃない。
クュルナさんもエリュティアさんも、無闇さんも…そして、私も。
冥界の『門』を維持する為に、既に魔力の大半を失ってしまっていた。
…もう、これ以上は無理だ。
この五日間、もう何度も思ったことを、私はまた思った。
現世では、学院長先生方が冥界に旅立ってから、既に五日が経過していた。
五日!
一体、どれほど途方もなく長い時間だったことでしょう。
その五日の間、吐月さんはずっと、冥界と現世を繫ぐ『門』を開き続けていた。
不眠不休で血を捧げ、魔力を注ぎ続けているのです。
吐月さんは既に膝を突き、肩で息をしながら、その顔色は真っ青になっている。
声をかけても、返事をする余裕もないほどに。
…もう、これ以上は無理です。
吐月さんは『門』を維持するこれ以上『門』を開き続けたら、吐月さんが死んでしまう。
そして、既に限界を迎えているのは吐月さんだけではない。
「…吐月さん、私の、魔力を…使って…」
少しでも吐月さんの手助けをしようと、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡しようとした。
けれど、ふわふわと覚束ない足元が絡まって、その場に倒れそうになった。
そんな私を、アトラスさんが支えてくれた。
「シュニィ…!しっかりしろ」
「だ…大丈夫、です…」
私が倒れている場合じゃないのに。
吐血さんはもっと辛くて大変なのに、こんなことで…。
「大丈夫じゃない。お前だって、もう魔力を使い果たしてるだろう」
「…そ、れは…」
アトラスさんに指摘されて、私は思わず口ごもった。
少しでも吐月さんの手伝いをしたくて、この五日間、私は自分の魔力を吐月さんに譲渡していた。
既に、ほぼ限界まで絞り尽くしている状態だ。
そのせいで、足元さえ覚束ない。目眩が酷くて、考えがまとまらない。
限界が近いという、何よりの証拠だった。
だけど、それは私に限った話ではない。
「私の…魔力を使ってください。私は、まだ…平気、ですから…」
倒れかけた私の代わりに、クュルナさんが名乗り出た。
そのクュルナさんだって、酷く顔色が悪く、疲労が色濃く滲み出ていた。
彼女もまた、私と同じように、吐月さんに魔力の大半を譲渡し続けている。
クュルナさんも限界なのだ。私に負けないほどに…。
そして…。
「クュルナさん、大丈夫です。僕が、代わりに…」
同じく満身創痍のエリュティアさんが、それでもクュルナさんの代わりを申し出た。
探索魔法で手助けが出来なかった代わりにと、エリュティアさんは積極的に、吐月さんの手伝いを申し出てくれた。
お陰で、彼の魔力もほぼ全て使い尽くされている。
それでも、これ以上クュルナさんに負担をかけまいと、自ら名乗り出てくれたのだ。
更に。
「俺の魔力も使ってくれ…。…まだ行ける」
「…」
そう名乗り出た無闇さんの傍には、月読さんが心配そうに見つめていた。
普段、月読さんが私達の前に姿を現すことはほとんどない。
その月読さんが、私達の前に姿を現してまで、心配そうに無闇さんを見守っている。
つまり、それだけ無闇さんが無茶をしているということだ。
吐月さんだけじゃない。
クュルナさんもエリュティアさんも、無闇さんも…そして、私も。
冥界の『門』を維持する為に、既に魔力の大半を失ってしまっていた。
…もう、これ以上は無理だ。
この五日間、もう何度も思ったことを、私はまた思った。