神殺しのクロノスタシス6
冗談だろ。現世にまで、ガイコツ軍団が進出してくるなんて。

恐らく、ピラミッドが崩れた時、このガイコツ軍団も裂け目に吸い込まれて、俺達と一緒に現世に転送されてきたのだ。

逃げ切ったと思ってたのに、こんなところまでしつこい奴ら…!

「くそっ、何とか応戦…!」

ともかく撃退するしかないと、杖を取り出したが。

「羽久、マシュリ君の心臓を追いかけて!」

「はっ?」

シルナは、俺に違う指示を出した。

「さっき飛んでっちゃった、マシュリ君の心臓を追いかけて。万が一、別の人の手に渡ってしまったら大変だから」

あぁ…そうだ。マシュリの心臓、勝手にどっかにすっ飛んで行っちゃったんだった。

あれを追いかけなければ、一体何の為に冥界まで行ったのか。

「でも、このガイコツ…!」

「大丈夫、私達で何とかするから」

シルナは杖を取り出し、それから。

「結局、やるしかないのか…。畜生、こんなことだろうと思ってたぜ」

「現世まで追いかけてくるとは。ストーカーですね」

「よし。骨を斬ろうか、『八千歳』」

「ガイコツと戦うなんて、映画みたいだねー」

キュレムとルイーシュ、令月とすぐりも臨戦態勢に入った。

そして、ジュリスも。

「行け、羽久。ここは俺達が引き受ける」

「ジュリス…」

「よし、ベリクリーデ。あのガイコツを倒すぞ。一緒に…」

「わー。動く骨だー。骨が動いてるよ、ジュリス。面白そ、」

「面白がってる場合か!」

…何だろう。ベリクリーデが心許ないが。

分かった。そこまで言うなら…ここは、皆に任せよう。

「…必ず戻ってくるから、それまで何とか持ち堪えてくれ…!」

「任せて、羽久」

力強く請け負うシルナに背を向けて、俺はマシュリの心臓が飛んでいった方に向けて走り出した。

一刻も早く、あの脱走心臓を取り戻さなければ。
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