神殺しのクロノスタシス6
…と。

しんみりしてしまったが、今はそれどころじゃないんだったと思い出した。

「そうだ。ガイコツ…!」

「ガイコツ?」

今頃、ガイコツ軍団と戦っているであろうシルナ達のことを思い出して、ハッとした。

何もかも終わった気になってるが、まだ終わってないぞ。

冥界から連れて帰ってしまった「お土産」を何とかしなければ、安心して『門』を閉じられない。

「えぇっと…。説明するのが難しいが、俺達、ガイコツを現世に連れてきちゃったんだよ」

「…全く意味が分からないけど、要するにピンチなんだね?」

「そ、そういうことだ」

ごめんな。上手く説明出来なくて。

でも、ゆっくり説明している暇はない。

急いでシルナ達のもとに戻らなくては。

「マシュリ、お前はここで待っててくれ。俺はシルナのところにもどっ…」

「僕も行くよ」

え?

「僕の為に戦ってくれてるんでしょ?それなら、僕も手を貸すよ」

えぇ?

手を貸してくれるのは有り難いけど、でも…。

「いや、でも…!お前、病み上がり…って言うか、死に上がり…?なのに、動き回ったりしたら…」

身体、まだ本調子じゃないんじゃないのか。 

7つ目の心臓は戻ったけれど、他の6つの心臓はまだ再生出来てないんじゃ…。

「ケルベロスの再生能力を見くびってもらったら困るね。心臓が一つでも動いていれば、再生は容易い」

「で、でも他の心臓はまだ…」

「とっくに戻ってるよ。7つ全部」

はやっ!

そんな超速度で再生すんのか?ナジュを超えてるじゃないか。

「だから、僕も行く」

「…分かった。でも、無理をするなよ」

「さっきまで散々無理をしてきた人達が、よく言うよ」

ごもっとも。

お前が言うな、って感じだな。

「学院長達のところに行けば良いんだよね」

「へっ?」

そう言うなり、マシュリは神竜バハムートの姿に『変化』した。

すげぇ。あの老神竜と同じ、神々しい竜の姿。

これがマシュリの…神竜バハムートとしての姿。

そのマシュリが、俺の首根っこをパクリ、と口に咥えた。

「!?」

「ふははっへて(捕まってて)」 

まさか、この状態で行くのか?

ちょ、俺自分の足で走るから、降ろし、

「ひほう(行こう)」

「はぁぁぁぁ!?」

俺を口に咥えた状態で、マシュリは竜の翼を羽ばたかせた。

神竜マシュリタクシー、ここに爆誕。

…せめて、口に咥えるんじゃなくて、その立派な背中に乗せてくれよ。
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