神殺しのクロノスタシス6
…やれやれ。死ぬかと思った。

もう、今日だけで何回死ぬかと思ったか分からない。

無事に生き延びた…のみならず。

「…ふぅ…」

「…あ、戻った…」

神竜形態だったマシュリが、人間形態に『変化』した。

おかえり。

「マシュリ…」

「…君達の命知らずを責める前に、助けてもらったことにお礼を言わないといけないね」

「別に良いよ。礼を言って欲しくて助けた訳じゃないからな」

無事に帰ってきてくれたんだから、それ以上に大切なことなんてない。

「あなたは死んで楽になりたかったんでしょうが、そうは行きませんよ」

と、ナジュが得意げにマシュリに言った。

「この人達と来たら、見捨ててくれれば楽なのに、意地でも見捨ててくれませんからね。地獄の底まで手を伸ばしてくる」

「…本当。全くだね」

人聞きの悪いことを言うな。

それだけ聞くと、何だかしつこいストーカーみたいだな。

「勝手に死ぬのが悪いだろ。俺達に黙って」

「当たり前です。あなたがいなくなったら、生徒が授業そっちのけで猫探しに夢中になるんですから。出ていくなら引き継ぎくらいしていきなさい」

イレース、鬼だな。

猫の引き継ぎって何だよ。

「お互い、言いたいことは山程あるだろうが…」

とりあえず、もう、今日だけで色々あり過ぎて疲れたので。

「…帰ろう。皆で」

全員揃って、諸手を挙げて凱旋だ。

最高の気分だろ?
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