神殺しのクロノスタシス6
元々智天使様は、生き物の殺生を極端に厭われる。

命を奪わずに解決出来るのなら、そうしたいと思われる方だ。

そのお優しい性格の為に、同僚である熾天使様と座天使様からは、甘いと謗(そし)られることも度々である。

しかし、誰に何と責められようと、智天使様は自らのお考えを変えることはない。

生き物一人ずつの命を、尊重されてるのだ。

「お願いがあります、リューイ」

智天使様は、私の両目をじっと見つめておっしゃった。

「はい」

「くれぐれもセラフィム達に気づかれないよう、私の代わりに地上に行ってくれませんか」

「はい」

「そして、シルナ・エインリーとその仲間達のもとで、彼らの真意を確かめて欲しいのです。彼らが本当に、神の裁きを下すに値する罪人なのかどうか…」

「あなた様のご命令なら、何なりと」

私は智天使様の御前に跪き、そう答えた。

「ありがとうございます、リューイ。頼みます」




こうして、私は智天使様のご命令を受け。

遠い天上の地から、裏切り者シルナ・エインリー達のいる地上へと舞い降りた。



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