神殺しのクロノスタシス6
学院長室で二人、黙々とチョコレート菓子を袋詰めする。
二人でやれば作業効率は2倍。あっという間に、生徒全員に配るチョコレートの用意が出来た。
「よーし、出来た!あとは、これを食堂に持っていって配るだけだね!」
達成感でいっぱいのシルナ。
はいはい、良かったな。
…で、
「…何の為のチョコなんだ?」
「ほぇ?」
ほぇ、じゃなくて。
「ハロウィンでも休み明けでもないのに、何であんなにチョコを用意してたんだよ?」
それをずっと聞きたかったんだよ。とりあえず作業が終わってから、と思って。
「あぁ、これ?これはね…生徒に、少しでも元気を出してもらおうと思って」
…元気?
「ここ最近、生徒達の表情が暗いでしょ?羽久もそう思わない?」
「表情が暗い…?…まぁ…」
…そうだっけ。
そう言われたら、確かにそんな気がする…。
学院長として、生徒の表情の変化を見逃さないシルナが言うのだから、間違いないだろう。
「そうかもな…」
「でしょ?だから、元気出してもらおうと思って。一肌脱いでみたんだ」
ふーん。その気持ちは分かるけど。
チョコ菓子くらいで、生徒達の元気が出ると思ったら大きな間違いだぞ。
誰もがお前みたいに、チョコレートでエネルギー補給してる訳じゃないから。
しかし、シルナは。
「甘くて美味しいチョコを食べたら、きっと皆、元気を出してくれるはずだよ。チョコレートは幸せの魔法だからね!」
持論である、チョコレート万能説を披露。
今度お前が落ち込んでたら、チョコ菓子を袋詰めして渡してやるよ。
「しかし、何で生徒達の表情が暗いんだ?何かあったっけ…」
筆記試験の時期でもないし、実技試験もまだ先…。
「ほら、この間イレースちゃんが、リューイ君の手を借りて、抜き打ち試験を作ってたでしょ?」
と、シルナが説明してくれた。
あっ…。成程、原因はそれか。
「本当に、全く予告なしの抜き打ちテストだったみたいで…。しかも、その試験問題が、いつもの小テストの比じゃないくらい難しかったらしくて…」
「マジで…?そんなに?」
「うん。平均点はどの科目も50点を切ってるって話…」
「…そりゃまた、辛口だな…」
優秀なイーニシュフェルト魔導学院の生徒達が、平均点50点も取れないとは。
それは生徒達が怠惰だからではなく、単純に問題が難し過ぎる&採点が辛口過ぎる。
しかし、イレースはそんな試験問題の難しさなど、考慮に入れてはくれまい。
平均点の低さを、生徒達にこんこんと説教したに違いない。
「生徒達は可哀想に。たるんでるとか怠けてるとか散々怒られて、酷い目に遭ったって…」
「そうか…。だろうな…」
「そのせいで、最近生徒達の元気がないんだよ」
「そうか…。だろうな…」
大人である俺やシルナだって、イレースに叱られるとめちゃくちゃへこむのに。
思春期の生徒達にとっては、非常に堪えたに違いない。
二人でやれば作業効率は2倍。あっという間に、生徒全員に配るチョコレートの用意が出来た。
「よーし、出来た!あとは、これを食堂に持っていって配るだけだね!」
達成感でいっぱいのシルナ。
はいはい、良かったな。
…で、
「…何の為のチョコなんだ?」
「ほぇ?」
ほぇ、じゃなくて。
「ハロウィンでも休み明けでもないのに、何であんなにチョコを用意してたんだよ?」
それをずっと聞きたかったんだよ。とりあえず作業が終わってから、と思って。
「あぁ、これ?これはね…生徒に、少しでも元気を出してもらおうと思って」
…元気?
「ここ最近、生徒達の表情が暗いでしょ?羽久もそう思わない?」
「表情が暗い…?…まぁ…」
…そうだっけ。
そう言われたら、確かにそんな気がする…。
学院長として、生徒の表情の変化を見逃さないシルナが言うのだから、間違いないだろう。
「そうかもな…」
「でしょ?だから、元気出してもらおうと思って。一肌脱いでみたんだ」
ふーん。その気持ちは分かるけど。
チョコ菓子くらいで、生徒達の元気が出ると思ったら大きな間違いだぞ。
誰もがお前みたいに、チョコレートでエネルギー補給してる訳じゃないから。
しかし、シルナは。
「甘くて美味しいチョコを食べたら、きっと皆、元気を出してくれるはずだよ。チョコレートは幸せの魔法だからね!」
持論である、チョコレート万能説を披露。
今度お前が落ち込んでたら、チョコ菓子を袋詰めして渡してやるよ。
「しかし、何で生徒達の表情が暗いんだ?何かあったっけ…」
筆記試験の時期でもないし、実技試験もまだ先…。
「ほら、この間イレースちゃんが、リューイ君の手を借りて、抜き打ち試験を作ってたでしょ?」
と、シルナが説明してくれた。
あっ…。成程、原因はそれか。
「本当に、全く予告なしの抜き打ちテストだったみたいで…。しかも、その試験問題が、いつもの小テストの比じゃないくらい難しかったらしくて…」
「マジで…?そんなに?」
「うん。平均点はどの科目も50点を切ってるって話…」
「…そりゃまた、辛口だな…」
優秀なイーニシュフェルト魔導学院の生徒達が、平均点50点も取れないとは。
それは生徒達が怠惰だからではなく、単純に問題が難し過ぎる&採点が辛口過ぎる。
しかし、イレースはそんな試験問題の難しさなど、考慮に入れてはくれまい。
平均点の低さを、生徒達にこんこんと説教したに違いない。
「生徒達は可哀想に。たるんでるとか怠けてるとか散々怒られて、酷い目に遭ったって…」
「そうか…。だろうな…」
「そのせいで、最近生徒達の元気がないんだよ」
「そうか…。だろうな…」
大人である俺やシルナだって、イレースに叱られるとめちゃくちゃへこむのに。
思春期の生徒達にとっては、非常に堪えたに違いない。