神殺しのクロノスタシス6
新作猫缶を、心ゆくまで楽しんだ後。

いつもだったら、猫好きな生徒達が中庭に集まってきて。

ボールや、猫じゃらしや蹴りぐるみなどを持ってきて、一緒に遊んでくれるのだが…。

この日はと言うと。

「ごめんね、いろりちゃん。一緒に遊んであげたいけど、今日はもう急いで帰らなきゃ」

餌やりが終わった途端、生徒は残念そうに立ち上がった。

「もうすぐ試験があるから、試験の勉強しなきゃいけないの」

「…にゃー…」

そういえば、学院長達も試験問題がどうの、とか言ってたっけな…。

試験勉強に忙しい生徒達は、猫を構って遊んでいる暇はないということか。

…何だか、ちょっと寂しい。

「ごめんね。試験が終わったら、また一緒に遊ぼうね」

「にゃー」

よしよし、と手のひらで背中を撫でてくれた。

…試験か…。まぁ、仕方あるまい。

学生である彼らの本分は勉学だからな。

餌をくれた生徒は、申し訳無さそうに中庭から去っていった。

…ので。

僕もそろそろ、人間の姿に戻るとしようか。
< 26 / 404 >

この作品をシェア

pagetop