神殺しのクロノスタシス6
特にヤバいのは、背後を塞ぐように守っている令月とすぐりだな。

この二人の連携を、果たして崩せるだろうか?

しかも、向こうは殺す気でかかってきてるのに。

こちらは殺さず、傷つけないように気を遣わなきゃいけない。

これだけでも、数の優位なんてあてにならない。

どうする?どうすれば仲間達を傷つけずに、この場を切り抜け…、

「…よし、こうなったら。…ベリクリーデ」

「ほぇ?」

ジュリスが、くるりとベリクリーデの方を向いた。



「お前の出番だ。ドカンと一発、デカいのを頼む」

「ドカンと…?…うん、分かったー」

…え?

ジュリスに頼まれて、ベリクリーデは無邪気に前に出た。

ちょ、ちょっと待ってくれ。なんか嫌な予感が、

「良いか、手加減はしてやるんだぞ。くれぐれもやり過ぎないように、」

と、ジュリスが忠告しようとしたのに、ベリクリーデは全く聞いていなかった。

あっという間に、ベリクリーデは巨大な魔力の爆弾を生成。

その巨大な魔力爆弾を、イーニシュフェルト魔導学院の職員室の床に叩き込んだ。

「どっかーん」

「手加減しろって言っただろうがぁぁ!!」

ジュリスの悲鳴のような叫び声を聞きながら、俺とシルナは思わずその場に伏せた。

凄まじい威力の魔力爆弾が炸裂し、地震が起きたのかと思うほど、建物全体が激しく揺れた。

令月もすぐりもイレースも天音も、これには咄嗟に動けなかった。

そしてその隙を、マシュリは見逃さなかった。

「乗って!」

ケルベロスに『変化』したマシュリが、そう叫んだ。

あ、そ、そうか。

俺は懸命に手を伸ばし、マシュリの背中にしがみついた。

背中に俺とシルナ、そしてジュリスとベリクリーデを乗せ。

マシュリは、窓を突き破って外に飛び出した。

あとは、一目散に学院の敷地内から逃げ出した。





…こうして、俺達は本日再び、自分の学院から無様に逃げ出したのだった。



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