神殺しのクロノスタシス6
「君じゃ、『俺』には勝てないよ」
「さて、それはどうでしょうかね?」
やめとけ、ナジュ。煽るんじゃない。天音は本気だぞ。
いつもの天音じゃないんだ。『ムシ』のせいで、より凶暴な性格に…。
「さよなら」
「…!」
天音は、容赦なく剣を振るった。
その凄まじい剣速と言ったら、令月に負けず劣らず。
まさか、天音にこんな動きが出来るなんて。
いや、そんなことより。
「ナジュ!避け…」
俺が叫ぶまでもなく、ナジュは身を屈めて一太刀目を躱した。
嘘だろ。あの速度が見えてるのかよ。
しかし、二太刀目は完全に躱すことは出来なかった。
天音の左手で振るった剣が、ナジュの右手を付け根から切り落とした。
お…恐れていたことが…!
「ナジュ!今助けに、」
「来なくて良いです」
は!?
咄嗟に割って入ろうとしたが、当のナジュに止められた。
腕を切り落とされたというのに、ナジュは顔色一つ変えなかった。
どころか、そのまま天音に向かって突進した。
「…!?」
まさか突っ込んでくるとは思わなかったらしく、これには天音も虚を突かれたようで。
一瞬狼狽え、動きが鈍った。
当たり前だ。誰が腕を切り落とされたのに、平然と突っ込んでくる馬鹿がいるのか。
その馬鹿…ナジュは、残った左手に風魔法の刃を出現させた。
「っ!」
それを見て、天音は再度剣を構え、容赦なく突き出した。
その天音の剣が、ナジュの胸にグサリと突き刺さると同時に。
刺し違えたナジュの風魔法が、天音の胸元を浅く切り裂いた。
やっ…。
…やりやがった。
両者痛み分け、と言いたいところだが、腕を切り落とされ、おまえに胸に深々と剣が突き刺さってるナジュの方が、遥かに重症である。
と言うか、普通の人ならとっくに死んでる。
…普通の人なら、な。
「ナジュ!馬鹿、お前…!」
「いたたた…。もー、痛いじゃないですか」
「いたた」程度で済ませられる辺り、ナジュも伊達に何度も死んでないってことか。
だが、そういう問題じゃない。
不死身だからって無茶すんなって、何回言ったら…!
「でも、その甲斐はありましたよ」
と言って、ナジュは床の上を指差した。
そこには、天音の心臓に巣食っていた『ムシ』が、苦しそうに身を捩っていた。
…出た。やっぱり気持ち悪い。
「さて、それはどうでしょうかね?」
やめとけ、ナジュ。煽るんじゃない。天音は本気だぞ。
いつもの天音じゃないんだ。『ムシ』のせいで、より凶暴な性格に…。
「さよなら」
「…!」
天音は、容赦なく剣を振るった。
その凄まじい剣速と言ったら、令月に負けず劣らず。
まさか、天音にこんな動きが出来るなんて。
いや、そんなことより。
「ナジュ!避け…」
俺が叫ぶまでもなく、ナジュは身を屈めて一太刀目を躱した。
嘘だろ。あの速度が見えてるのかよ。
しかし、二太刀目は完全に躱すことは出来なかった。
天音の左手で振るった剣が、ナジュの右手を付け根から切り落とした。
お…恐れていたことが…!
「ナジュ!今助けに、」
「来なくて良いです」
は!?
咄嗟に割って入ろうとしたが、当のナジュに止められた。
腕を切り落とされたというのに、ナジュは顔色一つ変えなかった。
どころか、そのまま天音に向かって突進した。
「…!?」
まさか突っ込んでくるとは思わなかったらしく、これには天音も虚を突かれたようで。
一瞬狼狽え、動きが鈍った。
当たり前だ。誰が腕を切り落とされたのに、平然と突っ込んでくる馬鹿がいるのか。
その馬鹿…ナジュは、残った左手に風魔法の刃を出現させた。
「っ!」
それを見て、天音は再度剣を構え、容赦なく突き出した。
その天音の剣が、ナジュの胸にグサリと突き刺さると同時に。
刺し違えたナジュの風魔法が、天音の胸元を浅く切り裂いた。
やっ…。
…やりやがった。
両者痛み分け、と言いたいところだが、腕を切り落とされ、おまえに胸に深々と剣が突き刺さってるナジュの方が、遥かに重症である。
と言うか、普通の人ならとっくに死んでる。
…普通の人なら、な。
「ナジュ!馬鹿、お前…!」
「いたたた…。もー、痛いじゃないですか」
「いたた」程度で済ませられる辺り、ナジュも伊達に何度も死んでないってことか。
だが、そういう問題じゃない。
不死身だからって無茶すんなって、何回言ったら…!
「でも、その甲斐はありましたよ」
と言って、ナジュは床の上を指差した。
そこには、天音の心臓に巣食っていた『ムシ』が、苦しそうに身を捩っていた。
…出た。やっぱり気持ち悪い。