神殺しのクロノスタシス6
…しかし。

「ま、待って。でも、学院を出て、他に何処に行くんですか?」

と、天音が慌てて尋ねた。

…そうだな…。

「生徒だけじゃない。他の誰も、俺達のせいで傷つける訳にはいかないからな…」

…学院のみならず、このルーデュニア聖王国から離れるべきか?

仕方がない。そうしなければ誰かを巻き込んでしまうのなら、誰もいないところに逃げるしか…。

「一つ、考えてることがあるんだ」

と、シルナが言った。

…え?

「どういうことだ?シルナ…」

「『彼』に助けを求めよう。…もし協力してくれたら、学院を離れずに済むかもしれない」

…何だと?

「マシュリ君、指輪…貸してもらえるかな」

シルナは、マシュリに向かってそう頼んだ。

その一言で、俺は全てを理解した。

マシュリの指には、暴走を防ぐ為にシルナが加工した指輪が嵌まっている。

その指輪というのは…。




「…珠蓮(しゅれん)君に、協力を求めよう」

天使共が、『ムシ』なんていうチート生物兵器を使うのなら。

こちらも、魔封じの石…賢者の石という、チートアイテムで対抗しようという腹である。
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