神殺しのクロノスタシス6
「お前ら、随分余裕そうじゃねぇか。あぁ?」

ほらぁ。山賊を怒らせちゃってる。

言わんこっちゃない。シルナとリューイのせいだぞ。

ともかく、何とか対話を…。

「5000万はさすがに吹っ掛け過ぎだろ。減額を、」

「値段交渉は受け付けられねぇな」

あぁそうかい。

ま、そりゃそうだろうな。

「払うもん払いな。…それが出来なきゃ」

「出来なきゃ、どうなるんだ?」

「持てるもん、全部置いていってもらうぞ。…てめぇらの命もな」

…ふーん。

随分安っぽい挑発だな。

結局、予想通りの展開になってしまった。

「いやぁぁ!食べられちゃう!シルナが食べられちゃう〜っ!」

「お前はいい加減うるせぇよ、シルナ…」

「これが本当に、イーニシュフェルトの聖賢者殿ですか?」

言われてるぞ。リューイに。

ごめんな。これが本当の、イーニシュフェルトの聖賢者なんだよ。

御大層な異名で結構だが、こいつはただのシルナだからな。

もう良い。一人でビビってろ。

「…仕方ない。ここは実力行使で行くか…」

「ってことは、僕らの出番だね」

「山賊退治。久し振りで、腕が鳴るなー」

ビビってるシルナとは裏腹に、令月とすぐりはやる気満々であった。

…ここは、この二人に任せて何の問題もなさそうだな。

むしろ、俺が余計な手出をしたら、二人の連携の邪魔になるまである。

「…令月、すぐり。良いか、手加減をしてやれよ」

「大丈夫。二度と旅人を襲おうって気にならないようにしてあげる」

「因果おーほー、って奴だよねー」

…手加減は無理そうだな。

仕方ない。

命知らずにも、よりによって令月とすぐりに声をかけてしまった、自分達の愚かさを恨んでくれ。
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