神殺しのクロノスタシス6

羽久side

――――――…翌朝。

「羽久、起きて。そろそろ行こう」

令月に揺り起こされて、俺は微睡みから覚醒した。

…なんか、背中がいてぇ…。

「あれ…。俺、何やってたっけ…」

「寝惚けてんねー。山の中だよ」

あ、そうか…。

俺達、今アーリヤット皇国の…山道のど真ん中で野営してたんだった…。

よくよく見たら、俺、岩にもたれ掛かった寝てたらしい。

背中が痛いのも当然だ。

更に、俺の横では。

「学院長せんせー、起きてー」

「うーん、うーん…むにゃむにゃ…」

おっさんの寝ぼけ顔とか、誰得だよ。

朝から気持ち悪いもの見てしまった。寝起き最悪。

「むにゃ…。羽久が…私に失礼なこと考えてる気がする〜…」

「それ寝言かよ。起きてんじゃねぇの?」

さっさと目を覚ませ。夜が明けたなら、こんなところにいつまでも居てたまるか。

「おい、シルナ。…そうだ、特大のチョコマシュマロがあるぞ」

「えっ、チョコマシュマロ!?」

さっきまで寝ぼけ眼だったのに、一瞬で覚醒。

さすが、チョコレートの魔力は凄まじい。

シルナにとっては、何より効果的な目覚まし時計。

「よし、起きたな。行くぞ」

「今日も山賊、来るかなー」

「来たら返り討ちだけどね」

「今日中に、迷わずに皇都に行けると良いですね」

俺、すぐり、令月、リューイの順で、早速歩き出した。

「えぇっ…ちょ、君達…っ!チョコマシュマロは?ねぇ、チョコマシュマロはーっ!?」

シルナがうるせぇ。

急がないとな。急いで皇都に辿り着かなくては。

今頃どうしているだろう。列車ルート組は。

予定通りなら、あいつらは先に皇都に辿り着いているはずだが…。

「…あいつら…どうしてるかな…」

この場にいない四人の安否を思って、空を見上げて小さく呟いた。
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