神殺しのクロノスタシス6
…さて、その後の顛末について話しておかなければならないだろう。 

何事も、これにて一件落着とは行かないものだ。

目的を達した俺達はその後、皇宮を逃げるように撤退。

紆余曲折ありながらも、何とか、無事にルーデュニア聖王国に帰還した。

智天使ケルビムに命じられたハクロとコクロは、ナツキ様にかけていた洗脳を解いた。

長いことハクロとコクロに利用されていたナツキ様にとっては、キツネにつままれたようなものだろうな。

騙されていたと憤慨しただろうか。それともショックを受けただろうか。

いずれにしても、逃げるようにルーデュニア聖王国に帰還した俺達を、追ってくることも、不正入国を指摘することもなく。

それどころか、今のところ何の音沙汰もなく。

再びルーデュニア聖王国に侵攻してくる兆しも、現状なかった。

しばらくの間は、安心しても良いんじゃないか…と、思いたい。

リューイと智天使ケルビムは、そのまま天界に戻っていった。

むしろ心配なのは、彼らの方だな。

天界に戻れば、きっと激怒したセラフィムとソロネに対峙することになる。

今度は、二人共揃って捕らえられるんじゃないか…と、俺は心配したのだが。

リューイもケルビムも、「心配しなくて大丈夫です」としか言わなかった。

果たして彼らが今どうしているのか、俺には想像することしか出来なかった。

…天界の動向は気になるが。

地上…ルーデュニア聖王国には、一時的なものかもしれないが、平穏が戻ってきた。

そして、イーニシュフェルト魔導学院にも…。
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