神殺しのクロノスタシス6
えぇと、あとは…。

イレースはどうしてるだろう?

きょろきょろと、イレースの姿を探してパーティー会場を見渡すと。

いた。講堂の入り口の方に。

「ようこそいらっしゃいました。…えぇ、参加は自由で、無料です。こちらは粗品です。お受け取りください」

イレースは、パーティー会場にやって来た学外のお客さんに、小分けのチョコレートと。

「それから、こちらは学院パンフレットになります」

ちゃっかりと、学院パンフレットも一緒に配布していた。

広報活動に勤しんでいる。…さすがである。

それから…。あとはマシュリだな。

マシュリは何やってるんだろうか、と探してみたら。

「うわぁ、いろりちゃん。その子達、お友達なの?」

「こんなに友達がいるなんて、いろりは顔が広いんだなー」

という生徒の声が聞こえて、そちらの方を向くと。

会場の隅に、猫が何匹も集まって、生徒達に手ずから、おやつの猫用ちゅちゅ〜るを食べさせてもらっていた。

…マシュリの奴、近所の猫友達を招待してやがる。

あれが、マシュリのネコミュニティとかいう奴か。

あいつもあいつで、ちゃっかりしてんな…。

…野良猫に安易な餌付けは駄目だぞ。俺との大事な約束だ。

あれはマシュリだから許されているのであって。

何だかんだ、皆してチョコフォンデュパーティーを楽しんでるようだな。

かく言う俺も、試しにオレンジにチョコをつけて、食べてみた。

…うん。味は普通に。ちゃんと美味しい。

シルナの言う通り、最近はずっと大変なことが続いたから…。

たまにはこうして、羽目を外してガス抜きすることも大切なのかもしれない。

…まぁ、シルナは羽目を外し過ぎだがな。

けど、シルナがあんな風に心からはしゃくごとが出来るのは、それだけ平和だってことで…。

それは素直に、喜ぶべきなんだろうな…。

などと、考えていたその時。

「楽しそうなことをしていますね。チョコレートの噴水…ですか」

「おぉ、リューイじゃないか。あれはチョコフォンデュって言うんだ」

聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはリューイがいた。

…おぉ。久し振りだな。
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