神殺しのクロノスタシス6
俺だって、そう信じたい。
だけど…。
「そう言える根拠は?信じたいから、は証明にならないよ」
令月は相変わらず、シルナ相手でも容赦なく厳しい言葉をぶつけた。
心に突き刺さるようだ。
「この中に犯人なんていない。羽久も、イレースちゃんもナジュ君も、天音君も令月君も、すぐり君も…そして私も、マシュリ君を手に掛けたりなんかしない」
それでもシルナは、怯まずに同じことを繰り返した。
「何で、そう言い切れるの?」
「信じたいから、じゃないよ。私がそう確信してるから。例え脅されたとしても、仲間を手に掛けたりしない」
「…」
…そうだな。
俺だったら、脅されたって、マシュリをあんな風に…殺すなんて、絶対に有り得ない。
きっと、ここにいる誰もが同じように思っているはずだ。
マシュリを…仲間を手に掛けるくらいなら、自分の命を差し出した方がマシだ、と。
「…学院長の根拠のない希望論はさておき、我々が誰にも気づかれずにマシュリさんを殺害することは、現実的に考えて難しいでしょうね」
シルナを支持する…訳ではないが。
イレースは、シルナとはまた別の観点から、俺達の中に裏切り者がいないことを証明しようとした。
「…どういうことだ?」
「考えてもみなさい。聖魔騎士団でも手に余る、それどころか冥界の魔物でさえ、簡単に手出し出来ないあのドラ猫を、どうやってあれほど一方的に殺害するのです」
ドラ猫って言ってやるなよ。
でも…イレースの言うことは最もだ。
俺達の中に犯人がいるとして。
一体誰が、マシュリを殺すことが出来るのだ?
用事があるからと夜中に誘い出して、油断させたところをグサリ…。というのが常套手段だが。
人の殺気や敵意には、令月達と同じくらい…いや、ある意味でそれ以上に「敏感」なマシュリが。
そう簡単に油断するとは思えないし、仮に油断したからといって、マシュリほどの実力者を、どうやって殺すんだ?
アーリヤット皇国のマッドサイエンティスト相手でも、竜の炎で灼き尽くされるくらいなのに。
少なくとも、俺は無理だ。
マシュリを相手にしろと言われたら、泣いて逃げ出す。
絶対勝てない。勝てるビジョンが見えない。不意打ちも成功する気がしない。
仮に策を弄して、何とか勝てるとしても。
無傷じゃ無理だ。
死にたがりのナジュと違って、マシュリだったら、殺されそうになったらそれなりに抵抗するだろうし。
「僕だって、仲間の手にかかって死ぬのは嫌ですよ?」
「あぁ、そうかい」
今考えてるところだから、口を挟むのやめてくれないか。
もしマシュリの抵抗を受けたなら、こちらもそれなりにダメージを受けているはずだ。
でも、この中の誰一人、負傷している様子は全くない。
「…令月、すぐり。現場を最初に見た時、どうだった?マシュリに抵抗したような痕跡はあったか?」
念の為に、俺は令月達に尋ねた。
もしマシュリが本気で抵抗したら、犯人だってタダでは済まなかったはずだ。
「ないね。抵抗した痕は全くない」
「俺も保証するよ。一方的に殺されたみたいだね」
令月もすぐりも、きっぱりと言い切った。
…じゃあ、考えられる可能性は一つ。
犯人は、マシュリでさえ、手も足も出ない相手だったのだ。
その犯人に、マシュリは一方的に殺されたのだ。…恐らく、ろくに抵抗することも出来ず。
この世の一体誰が、マシュリにそんなことが出来るんだ?
全くもって、犯人の見当がつかなかった。
だけど…。
「そう言える根拠は?信じたいから、は証明にならないよ」
令月は相変わらず、シルナ相手でも容赦なく厳しい言葉をぶつけた。
心に突き刺さるようだ。
「この中に犯人なんていない。羽久も、イレースちゃんもナジュ君も、天音君も令月君も、すぐり君も…そして私も、マシュリ君を手に掛けたりなんかしない」
それでもシルナは、怯まずに同じことを繰り返した。
「何で、そう言い切れるの?」
「信じたいから、じゃないよ。私がそう確信してるから。例え脅されたとしても、仲間を手に掛けたりしない」
「…」
…そうだな。
俺だったら、脅されたって、マシュリをあんな風に…殺すなんて、絶対に有り得ない。
きっと、ここにいる誰もが同じように思っているはずだ。
マシュリを…仲間を手に掛けるくらいなら、自分の命を差し出した方がマシだ、と。
「…学院長の根拠のない希望論はさておき、我々が誰にも気づかれずにマシュリさんを殺害することは、現実的に考えて難しいでしょうね」
シルナを支持する…訳ではないが。
イレースは、シルナとはまた別の観点から、俺達の中に裏切り者がいないことを証明しようとした。
「…どういうことだ?」
「考えてもみなさい。聖魔騎士団でも手に余る、それどころか冥界の魔物でさえ、簡単に手出し出来ないあのドラ猫を、どうやってあれほど一方的に殺害するのです」
ドラ猫って言ってやるなよ。
でも…イレースの言うことは最もだ。
俺達の中に犯人がいるとして。
一体誰が、マシュリを殺すことが出来るのだ?
用事があるからと夜中に誘い出して、油断させたところをグサリ…。というのが常套手段だが。
人の殺気や敵意には、令月達と同じくらい…いや、ある意味でそれ以上に「敏感」なマシュリが。
そう簡単に油断するとは思えないし、仮に油断したからといって、マシュリほどの実力者を、どうやって殺すんだ?
アーリヤット皇国のマッドサイエンティスト相手でも、竜の炎で灼き尽くされるくらいなのに。
少なくとも、俺は無理だ。
マシュリを相手にしろと言われたら、泣いて逃げ出す。
絶対勝てない。勝てるビジョンが見えない。不意打ちも成功する気がしない。
仮に策を弄して、何とか勝てるとしても。
無傷じゃ無理だ。
死にたがりのナジュと違って、マシュリだったら、殺されそうになったらそれなりに抵抗するだろうし。
「僕だって、仲間の手にかかって死ぬのは嫌ですよ?」
「あぁ、そうかい」
今考えてるところだから、口を挟むのやめてくれないか。
もしマシュリの抵抗を受けたなら、こちらもそれなりにダメージを受けているはずだ。
でも、この中の誰一人、負傷している様子は全くない。
「…令月、すぐり。現場を最初に見た時、どうだった?マシュリに抵抗したような痕跡はあったか?」
念の為に、俺は令月達に尋ねた。
もしマシュリが本気で抵抗したら、犯人だってタダでは済まなかったはずだ。
「ないね。抵抗した痕は全くない」
「俺も保証するよ。一方的に殺されたみたいだね」
令月もすぐりも、きっぱりと言い切った。
…じゃあ、考えられる可能性は一つ。
犯人は、マシュリでさえ、手も足も出ない相手だったのだ。
その犯人に、マシュリは一方的に殺されたのだ。…恐らく、ろくに抵抗することも出来ず。
この世の一体誰が、マシュリにそんなことが出来るんだ?
全くもって、犯人の見当がつかなかった。