神殺しのクロノスタシス6
エリュティアがマシュリの亡骸を調べ、更に犯行現場となった園芸部の畑も、隅々まで調べた結果。

犯人に繋がるような『痕跡』は、一切、全く見つからなかったことが分かった。

マシュリの身体を貫いた、凶器となった7本の剣についてもそうだ。

不自然なほどに、何も見つからなかったそうだ。

しかし、それは予想していたことだった。

何も見つからなかったことが、何よりの動かぬ証拠。

以前、シュニィがマシュリに攫われ、監禁されていた頃。

同じようにエリュティアの探索魔法で探したが、手掛かりは一切見つからなかった。

あの時は、何故何も見つけられないのかと、揃って頭を捻ったものだが。

今なら分かる。

冥界の生き物であるマシュリに、探索魔法は通用しない。

つまり、そういうことだ。

探索魔法で何も見つけられないということは、冥界の魔物の犯行であるということ。

これで、犯人ははっきりした。

俺達が最初に予想した通り。

マシュリの同類。マシュリの同族。

神竜バハムートが、マシュリを裏切り者として処刑したのだ。

分かっていたから、驚きはしなかった。

ただ、俺達はこれからどうするべきかを選ばなければならない。

…つまり、仇を討つのか否かということを、だ。
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