神殺しのクロノスタシス6
…多分、ここにいる皆、同じ気持ちだと思う。

仲間思いな奴らばっかりだからさ。…揃いも揃って。

「…そうだろう?ナジュ」

俺達の心を読んでいるに違いないお前は、もうとっくに分かってるんだろう?

「…えぇ、分かってますよ。…揃いも揃って、向こう見ずな命知らずばっかりだなぁと思ってます」

全くだな。

「…で、そこにはお前も含まれてるんだろ?」

「そうなんですよ。残念なことに」

じゃ、人のこととやかく言えないな。

ここにいるのは全員、脳筋命知らずばかりだということで。

類は友を呼ぶって奴なのかなぁ。

「それがマシュリを助けられる唯一の方法なら、俺は躊躇わないよ」

「…やれやれ。普通なら、ここでもっと脅して思い留まらせようとするんでしょうけど…」

ナジュは、溜め息混じりにそう言った。

「この人達の心を読むと、説得なんて無意味だってことが分かっちゃうんですよね。僕には…」

「だろうな。諦めろ」

例えどれほど困難でも、その先にマシュリが待っているのなら。

恐ろしいことなんて、何もない。

むしろ、リスクを恐れて尻込みし、マシュリを忘れることの方がずっと怖い。

なら、俺は前に進むよ。

「…でも、あなた方に話したらきっと、こうなるだろうと思ってました」

「そうか。じゃあ、予想通りだったな」

「えぇ。むしろ…『やっぱり諦めよう』と言う人が一人もいなくて、安心してます」

…お前、さては。

「…万が一、俺達が『行かない』って言ったら、一人でも行こうと思ってただろ?」

「さぁ?それはどうでしょうね」

にっこりと微笑んで答えるナジュ。

おい。はぐらかすんじゃねぇ。

天音の言う通り…。素直なじゃないな、お前は。

「さて、そうと決まったら…もっと大事な話し合いをしましょうか。…冥界に赴き、マシュリさんの最後の心臓を取り戻す為に」

「あぁ」

いよいよ…ここからが、本当に大事な本題だ。
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