神殺しのクロノスタシス6
こいつら、揃いも揃って呑気過ぎるだろ。
特にシルナ。
「それから、あとは…とっておきのチョコドーナツも入れておこう」
「おい、何やってんだお前は」
「えっ?」
えっ?じゃないんだよ。
あーあ。見てみろ、シルナのリュックサックの中。
ありとあらゆるチョコ菓子でいっぱい。
シルナだけじゃない。
ベリクリーデのポシェットは、うんまい棒がいっぱい詰まってるし(しかも全部サルミアッキ味)。
令月とすぐりの風呂敷の中身…は、分かんないけど。
ルイーシュは、コーヒー牛乳を荷物に入れてるし。
コーラじゃなかったのかよ。
ナジュは、天音の救急箱に駄菓子を放り込んでる。
こいつら、揃いも揃って、冥界遠征を近所の遠足だと勘違いしてないか?
「お前ら、やる気あるのか?それとも、冥界を舐めてるのかどっち?」
「ち、違うよ羽久」
「何が違うんだよ」
言い逃れ出来ると思ってるのか。そのチョコ菓子が詰まったリュックサックを前に。
「むしろ、最大限に冥界を警戒しているからこそ、チョコをたくさん用意してるんだよ」
「はぁ?」
「どんなに恐ろしい魔物が出てきても…そう、チョコをあげたら仲良くなれるかもしれない…」
誰もがお前みたいに、チョコ一個でご機嫌になれる単純な奴ばっかだと思うなよ。
「それにね、びっくりすることや怖い目に遭っても、チョコを食べたら落ち着くと思うんだ。心の安定剤だよ、チョコは」
それっぽいことを言って誤魔化そうとするな。
「こいつら…。…やる気あるのか…?」
「ま、まぁまぁ…羽久さん…」
様子を見ていたシュニィが、俺を宥めるように声をかけてきた。
「皆さん、自分なりの方法で緊張感をほぐそうとしているんだと思いますよ」
あぁ…そういうこと。
…まぁ、緊張のあまり一歩も動けない。なんて状態になってるよりは。
こうして、呑気にお菓子を用意してる方が、余裕があって良いのかも…。
…って、そんな訳あるか。
余裕があるのと舐めプしてんのとは違うから。
「遊んでる時間が惜しい…。シュニィ、まとめてもらえるか」
「あ、はい。分かりました。…皆さん、聞いてください」
シュニィは俺の求めに応じて、パンと手を叩いた。
「これから、吐月さんに冥界の『門』を開いてもらいます。これが最後の確認です。心して聞いてください」
リュックサックにチョコを詰めていたシルナも、これには手を止めて、素直にシュニィの言葉を聞いていた。
本当はお前がまとめなきゃいけないんだぞ。分かってるか?
「今回の目的は、冥界の何処かにあるという竜の祠を探し、そこにあるマシュリさんの7つ目の心臓の封印を解いて、現世に持って帰ることです。良いですか?」
良いです。
「冥界では、何があるか分かりません。充分に気をつけて、何が起きても冷静な判断を心掛けてください。危険を避ける為に、事前に決めた二人一組のペアを崩さず、お互いに守り合ってください」
…言われずとも。
シルナは遠足気分だからな…。その分、俺がしっかりしてないと…。
「それから、私達の目的はあくまで、マシュリさんの心臓を取り戻すこと。可能な限り交戦は避け、無駄な血が流れないように気をつけてください」
無益な戦闘を避けるのは、自分達の身を守ることにも繋がる。
俺達はただマシュリの心臓を返してもらいたいだけで、冥界の魔物と戦いたい訳じゃないからな。
交戦を避けることだけは、徹底するつもりである。
「それから…万が一、冥界で離れ離れになった時の為に…これを」
そう言って、シュニィはとある魔法道具を、遠征メンバー一人一人に配った。
特にシルナ。
「それから、あとは…とっておきのチョコドーナツも入れておこう」
「おい、何やってんだお前は」
「えっ?」
えっ?じゃないんだよ。
あーあ。見てみろ、シルナのリュックサックの中。
ありとあらゆるチョコ菓子でいっぱい。
シルナだけじゃない。
ベリクリーデのポシェットは、うんまい棒がいっぱい詰まってるし(しかも全部サルミアッキ味)。
令月とすぐりの風呂敷の中身…は、分かんないけど。
ルイーシュは、コーヒー牛乳を荷物に入れてるし。
コーラじゃなかったのかよ。
ナジュは、天音の救急箱に駄菓子を放り込んでる。
こいつら、揃いも揃って、冥界遠征を近所の遠足だと勘違いしてないか?
「お前ら、やる気あるのか?それとも、冥界を舐めてるのかどっち?」
「ち、違うよ羽久」
「何が違うんだよ」
言い逃れ出来ると思ってるのか。そのチョコ菓子が詰まったリュックサックを前に。
「むしろ、最大限に冥界を警戒しているからこそ、チョコをたくさん用意してるんだよ」
「はぁ?」
「どんなに恐ろしい魔物が出てきても…そう、チョコをあげたら仲良くなれるかもしれない…」
誰もがお前みたいに、チョコ一個でご機嫌になれる単純な奴ばっかだと思うなよ。
「それにね、びっくりすることや怖い目に遭っても、チョコを食べたら落ち着くと思うんだ。心の安定剤だよ、チョコは」
それっぽいことを言って誤魔化そうとするな。
「こいつら…。…やる気あるのか…?」
「ま、まぁまぁ…羽久さん…」
様子を見ていたシュニィが、俺を宥めるように声をかけてきた。
「皆さん、自分なりの方法で緊張感をほぐそうとしているんだと思いますよ」
あぁ…そういうこと。
…まぁ、緊張のあまり一歩も動けない。なんて状態になってるよりは。
こうして、呑気にお菓子を用意してる方が、余裕があって良いのかも…。
…って、そんな訳あるか。
余裕があるのと舐めプしてんのとは違うから。
「遊んでる時間が惜しい…。シュニィ、まとめてもらえるか」
「あ、はい。分かりました。…皆さん、聞いてください」
シュニィは俺の求めに応じて、パンと手を叩いた。
「これから、吐月さんに冥界の『門』を開いてもらいます。これが最後の確認です。心して聞いてください」
リュックサックにチョコを詰めていたシルナも、これには手を止めて、素直にシュニィの言葉を聞いていた。
本当はお前がまとめなきゃいけないんだぞ。分かってるか?
「今回の目的は、冥界の何処かにあるという竜の祠を探し、そこにあるマシュリさんの7つ目の心臓の封印を解いて、現世に持って帰ることです。良いですか?」
良いです。
「冥界では、何があるか分かりません。充分に気をつけて、何が起きても冷静な判断を心掛けてください。危険を避ける為に、事前に決めた二人一組のペアを崩さず、お互いに守り合ってください」
…言われずとも。
シルナは遠足気分だからな…。その分、俺がしっかりしてないと…。
「それから、私達の目的はあくまで、マシュリさんの心臓を取り戻すこと。可能な限り交戦は避け、無駄な血が流れないように気をつけてください」
無益な戦闘を避けるのは、自分達の身を守ることにも繋がる。
俺達はただマシュリの心臓を返してもらいたいだけで、冥界の魔物と戦いたい訳じゃないからな。
交戦を避けることだけは、徹底するつもりである。
「それから…万が一、冥界で離れ離れになった時の為に…これを」
そう言って、シュニィはとある魔法道具を、遠征メンバー一人一人に配った。