神殺しのクロノスタシス6
「良かった。じゃあ、行き当たりばったりの即席ペアだが…。宜しくな、ベリクリーデ」

「うん、宜しく」

お互い握手をして、即席ペア完成。

これでようやく、一息ついた気分だ。

「…ねぇ、羽久」

「どうした?ベリクリーデ」

「ここって、何処なの?」

ベリクリーデは、きょとんと首を傾げていた。

…そうだな。

改めて聞かれると、俺も困るな。

「冥界の何処か…ってことは確かだが、それ以外のことは分からないな…」

「何だか、古い遺跡みたいだね」

そうだな。

何もかも壊れちゃってるけど…。

「ジュリスは何処かなー。迷子かな?」

「…俺達も迷子だけどな…」

「よし。ジュリスを探しに行こう。ジュリスと…。…羽久のパートナーって誰だっけ?」

「シルナだよ」

覚えといてやってくれ。記憶の片隅で良いから。

「そう、シルナだ。ジュリスとシルナを探しに行こう」

「あぁ。俺もそのつもりだが…。同時に他のメンバーと、それから竜の祠も探さなきゃいけないぞ」

本来の目的を忘れちゃいけない。

竜の祠を見つけさえすれば、これ以上危険な冥界の旅を続けずに済むのだ。

しかし、ベリクリーデは。

「…?りゅーの、ほこら?」

おい。まさかこの寝ぼけ娘、自分が何をしに冥界に来たのか分かってないのか。

「竜の祠だよ…。マシュリの心臓を探しに来たんだ。忘れたのか?」

「心臓。心臓かー。うんうん、大丈夫分かってるよ。心臓ってあの…アレだよね。お砂糖かけて食べたら美味しいよね」

カニバリズム。

駄目だ。ベリクリーデ、全然分かってなさそう…。

…即席のペアを作って、安心したつもりだったが。

むしろ、別の不安が生まれてきたような…。

そうだった。ジュリス以外に、ベリクリーデを正しく操縦出来る者はいないんだった。

果たして、俺にベリクリーデを操縦することが出来るのだろうか。

むしろ、俺の方が振り回されそう。

「じゃあ、ジュリスとシルナと、りゅーのほらこを…」

「竜の祠、な…」

「そう、それ。それを探しに行こう。よーし、出発しんこー」

ここに、非常に不安が残る旅が始まった。

…無事に、目的を達成出来れば良いのだが。
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