骨の髄まで

この人と比べられて劣等感しか覚えなかったあの頃を、いつまで携えて生きていくのだろう。

「今日の午後、同行してもらいます」
「同行?」
「簡単な挨拶まわりに行きます。業務に慣れたら僕の持ってる営業先をいくつか……」

月野さんがこちらを見た。私の首からかけている社員証へ視線を向ける。

「日下部さんに引き継いでもらうので」

名前が分からなかったらしい。

「分かりました」
「昼ごはん、持ってきてますか?」

尋ねられて、首を振った。
今日はお弁当でも出るのか、と構えていると、

「同行先の近くに美味い蕎麦屋があります」

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