骨の髄まで
車が停まる。顔を上げると、いつの間にか蕎麦屋へ駐車していた。
「道順……見てませんでした」
きっとこういうところだ、と反省する。
月野さんを見ると、少し笑っていた。
笑うこともあるんだと思わず魅入る。
「次はナビに従って運転してください」
「急に機械任せに」
「早く蕎麦食べませんか」
その提案に、すぐに「食べます」と答えた。
天ざるは美味しかったし、その後の挨拶も和やかに終わった。
会社に戻って再度資料の直しに取り掛かる。
月野さんは会議らしく、すぐに席を立った。