骨の髄まで

確かに誰かと乾杯している姿は想像出来ないかも。

「日下部さん、誘っといて」
「え」
「あ、これ俺の連絡先。よろしくね!」

流石営業マン。パパッと連絡先を置いて、逃げていった。

……歓迎される側の私が誘うの?

資料の直しが終わって雑務をしていると、月野さんが会議から戻ってきた。

言わなければ、という気持ちと、私が言わないといけないのか? という気持ちがどっちつかずのまま、顔を上げてしまった。

バチリと目が合う。

合うと、簡単には逸らせなくなる。

「何かありましたか」

先に月野さんが問うてくれる。

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