骨の髄まで

辞めてしまって思い出せない同期の顔もある。薄情だけど、仕方ない。

歓迎会という名の飲み会で、私は良い頃合いで居酒屋を抜けた。星土さんは酔って課長と深く話し込んでいて、まだお開きにはなりそうになかった。

会社の近くの歓楽街を抜けて、駅へ辿り着く頃に、後ろから来ていた人に気付く。

「い、いつから」
「最初から」

月野さんが涼しい顔をして斜め後ろを歩いていた。

「声かけてください……驚いた」
「すぐ別れると思ったんですが、ここまで一緒でした」

ビールを何杯か飲んでいたけれど、少しも顔色は変わっていない。

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