骨の髄まで
漸く落ち着いた心臓を確認して、駅の方へ向き直ろうとしたところで声をかけられた。
「すみません、ここってどうやって行けば良いか分かります?」
私にかけられたのだと思って振り向くと、女性の視線は月野さんへ向いている。
すごい、あからさまな逆ナン。
月野さんは無表情の中で少し辟易とした何かを見せた。それに気づいてしまい、私もその場を動けなくなる。
背高いし顔も綺麗だから、こういうの何度もあったんだろうな。
月野さんは困る女性のスマホを覗き、地図の説明をする。
「辿り着けるか心配で、一緒に来てもらえませんか……?」