骨の髄まで
上目遣いはあざといけれど可愛い。こうやって異性を落とすのね、と私も勉強になる。
月野さんは返事を少し考えて、こちらを見た。
「彼女も一緒で良ければ」
私を示す。その言葉に、女性の視線も向けられる。
「あ、彼女さんいたんですねー。じゃあ」
あっさりすたすたと人混みの中を歩いて行ってしまう。
えー! もう少し粘らないの!?
「あ、彼女じゃないです」
「もう行っちゃいましたよ」
「本当ですね。僕らも帰りましょう」
慣れたように月野さんもあっさりと歩き出した。私はその背中を追う。