骨の髄まで

でも子供だった私は、少しもそんなことに気付くわけもなく、ただ月野馨に劣らないように胃をキリキリさせる毎日だった。

最後に会ったのは親戚の葬式で、あの頃は特に酷く月野さんに対して劣等感を抱いていた。

母と月野さんの母親が上辺だけの会話をしている後ろに黙って立っていたが、月野さんは今とそれほど変わらない無表情で私の方も見ていなかった。

それが憎らしくて、私なんて眼中に無いんだなと子供ながらに分かってしまった。

私の中で、月野さんは憎しみの対象だ。




天気が良かったので、布団を干した。
ついでに溜まった洗濯物も。

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