骨の髄まで
月野馨。
紹介されずとも、名前が頭に浮かんだ。
高い身長、均整の取れた顔。無表情のままその視線はこちらに向いていた。
覚えてないんだ、私のことなんて。
思わず嘲笑いたくなる。
最後に会ったのは高校生くらいの時だった。親戚の葬式に、月野馨の姿があった。
その時も無表情で親同士の会話を聞いていた。
綺麗な顔だけれど。
もう会わないと思っていたし、もう会いたくなかった。
「はい」
月野さんは表情を変えず、私を見ていた。