骨の髄まで
まあでも、月野さんは何も思わないだろう。
寧ろ少しは気まずさを理解してくれても良いと思う。
一応、上司ではあるけれど。
すごく仕事のできる、良い上司でもある。
何なら少し尊敬もしてる。
ぐるぐると色んなことを考えていると事故を起こすかもしれない。ぱちん、と自分の頬を叩いてから、車に乗った。
寝ると些末なことを忘れてしまう私は、翌日オフィスフロアに入って月野さんと目が合った。
「おはようございます」
先に挨拶をされ、同じように返す。
「昨日、野津リビングのところは大丈夫でしたか?」