骨の髄まで

じゃあ仕事中ではない。

「僭越ながらお尋ねしたいんですけど、月野さんって私のどこが好き……というか、いつから好きだったんですか……?」

蕎麦屋の裏の喫煙所。
周りに職場の人も居ない。
訊くなら今しかない。

「ずっと前から」
「異動してからちゃんと話しましたよね?」
「いや、就学前に何度か一緒に遊んでますよ」

月野さんは煙草の火を消して答える。

「全然覚えてません」
「でしょうね。中学の時に会った君は少しもこっちを見なかったから」

何の答え合わせだ。

私はあの暗く長いトンネルみたいな過去を思い出す。

< 47 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop