骨の髄まで
じゃあ仕事中ではない。
「僭越ながらお尋ねしたいんですけど、月野さんって私のどこが好き……というか、いつから好きだったんですか……?」
蕎麦屋の裏の喫煙所。
周りに職場の人も居ない。
訊くなら今しかない。
「ずっと前から」
「異動してからちゃんと話しましたよね?」
「いや、就学前に何度か一緒に遊んでますよ」
月野さんは煙草の火を消して答える。
「全然覚えてません」
「でしょうね。中学の時に会った君は少しもこっちを見なかったから」
何の答え合わせだ。
私はあの暗く長いトンネルみたいな過去を思い出す。