骨の髄まで
あの親族の集まりの中、皆が月野馨を見ていた。
皆が見ていたのだから、私が見ていなくても良かっただろうに。
「その後も会ってますよ。私が高校生の頃」
「え、覚えてません」
「本家の大伯父さんのお葬式で、月野さんは私のことなんて見てませんでした」
林檎ジュースは生温くなっていく。
「どうして僕を見ていたんですか」
きょとんとした顔で月野さんが尋ねる。初めて、無表情が抜けているのを見た。
「嫌いだったからです」
「どこが」
「全部?」
答えたのに疑問形になる。
だって、全てをオブラートに包む言葉が見当たらない。