骨の髄まで
振り向くと煩悩の要因。
「コーヒー飲みますか」
「いいです……月野さん飲んでください」
手に持っていた缶コーヒーを差し出され、丁重にお断りする。
そうですか、とあっさりそれは引き下げられていく。
「無糖は嫌いですか」
「普通です」
「野津リビングの締日ですけど」
「はい」
「聞いてます?」
「はい」
額を抱えて返事をする。
眠いわけじゃない。ただ集中したい。
私はコーヒーを貰えば良かったとそちらを見る。ぱっと月野さんと目が合った。
同時に視界に入る缶コーヒー。
月野さんが口を開こうとした。