骨の髄まで
自分は凡人なんだなと思い知らされる瞬間がある。
「締日?」
電話口の野津リビング担当の方が焦ったように言う。
『先日メールさせて頂いてます』
メールを開いて遡る。野津リビングから締日変更の旨が届いていた。
さーっと、血の気が引く。見逃した? いや、そもそも見てない? でも既読になってるってことは。
『日下部さん?』
「すみません、すぐに送ります」
『15時までですけど、間に合います? 難しいようでしたら』
「最優先で行います」
電話をしている時間も惜しい。
すぐに電話を切って引き出しから資料を取り出す。