骨の髄まで
私は数回瞬きをして、濡れた視界をクリアにする。
泣いてる場合じゃない。
「僕がやります。日下部さん、午後から外ですよね」
「いや、せめて半分は」
「間に合わないと思います。やるなら日下部さんが3分の1か、4分の1」
ばっさりと力不足を伝えられて、傷口にくるものがある。でも仕方ない、それは事実だ。
有能な上司に逆らうことはせず、それでお願いしますと頭を下げた。
勿論、月野さんを投入して間に合わないはずはなく、余裕を持って資料を送ることが出来た。
「ありがとうございました」
先程より頭を深く下げる。