骨の髄まで

「いえ」
「何かお礼を」
「できることをしただけなので」

きょとんとされる。きょとんとし返す。

「月野さんって、ずっとそうなんですか?」
「何がですか」
「誰に対してもフラットというか、喜怒哀楽が薄いというか」

後半は悪口だったかもしれない。

「この場合は喜怒哀楽のどれを表現するのが適切なんですか」
「そんなアンドロイドみたいな質問を」
「手を叩いて締めが間に合ったのを喜びましょうか」
「いや、やっぱりなんでもないです……」

サルがシンバルを叩く玩具を思い出し、私は静かに額を抱えた。そういうことじゃない。

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