骨の髄まで
手伝って貰ったのに、感情まで表してもらおうなんて傲慢だった。
「求めたところで、求められたものにはなれないって分かってたのに、今同じことをしようとしました」
「日下部さんは素直というか、実直ですよね」
「実直……?」
喜ぶべきところなのか、悩んで首を傾げる。月野さんは至極真面目に続けた。
「誠実で正直です」
実直の意味を説明された。
「月野さん、下のフロアから電話2番です」
「はい、受けます」
向かいのデスクから声をかけられ、月野さんは電話に出る。
そこで会話は途切れて私は自分の仕事に戻った。