骨の髄まで

私も顔を上げた。
目が合う。無表情の中に、少し感情が見える。

「そんなのは月野さんには関係ないのに」
「いや、関係してますよ」
「してても、嫌いだなんて口にして良い理由にはなりません」
「嫌われるのには慣れてます」

どうしていつも笑わないのに、こんな時ばかり口端が上がるのだろう。

心臓をぐっと押されたみたいに、言葉が出なくなる。

「どんなに善意で行動しても悪意に受け取られることもある。僕が傷つくとしたら、それは勝手な思い込みです」
「嫌われてるのに慣れてるなんて、普通に生きてきた人の言うことじゃありません」

それに返した。

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