骨の髄まで
「そんなことに慣れないでください。ちゃんと怒って悲しんで良いんですよ、月野さんは」
喜怒哀楽が無いわけじゃなくて、どこかで諦めているんだ。
だから、月野さんの感情は薄い。
「それで、嬉しい時に笑ってくれたら、私も嬉しいです」
あれ、何の話だったっけ。まあいっか。
手元のコーヒーが冷めつつある。その前に一口、と口をつけた。おお、美味しい。流石、課長の持ってきたコーヒー。
「どうして、日下部さんが嬉しくなるんですか」
月野さんはほうじ茶のティーバッグを取り出す。カップに入れてお湯を注いだ。